虫歯や歯周病は、全身の病気に関わることがわかってきています。ただ、最近の研究では、こうした病気の幾つかは、バランスのとれた食生活に よって症状の悪化を食い止められる可能性のあることもわかってきました。また、すべての虫歯・歯周病菌が悪さをするのではなく、特異な種類が元凶であることも判明しています。
菌を根絶するのは難しいですが、食生活の改善は少しずつ取り組むことができます。毎日の歯のケアや定期健診、 早めの通院と合わせ、健康な歯を守るために心がけておきましょう。
口腔内には700種類以上の細菌がいますが、大きく分けると、
- 病原性を示さない種類
- 糖分から作った酸で歯を損なう虫歯菌
- 歯を支える歯茎に障害を与える歯周病菌
の3つです。ただ、大阪大学歯学部の研究グループの研究結果によると、すべての菌が悪さをするわけではなく、特別な種類の虫歯菌や歯周病菌が元凶であることがわかりました。ただ、特別な種類の虫歯や歯周病菌がいるといっても、感染すれば誰もが病気になるわけではなく、病気を引き起こす条件もあるようです。
マウスによる実験では興味深い結果が得られています。脂肪分の多い食事を4週間与えて脂肪肝になったマウスに、歯周病菌を感染させて再び8週間続けて高脂肪の食事を与えると、肝臓が線維化してしまう一方、歯周病菌を感染させた後でも正常食を与えたマウスには肝臓に変化がありませんでした。歯周病菌と高脂肪の食事という組み合わせが、病気の進行に関わっていることをうかがわせるものです。歯周病と生活習慣病、双方の予防対策がますます求められることになります。